2010年6月9日水曜日

福田進一 ギター・リサイタル in しなの家

6月5日(土)~6日(日)は、千曲市でクラシック・ギター製作をされているさらしなさんからお誘いいただき、「しなの家」での「福田進一 ギター・リサイタル」を聴きに行きました。ご近所のスズムシさんもさらしなさんと一緒の車で来て、参加されました。

「しなの家」(北佐久郡立科町蓼科牧場女神平)は女神湖のすぐ近くで、我が家からは車で20分程です。

しなの家のオーナー(ご主人)が福田進一氏と知り合いで、今回のリサイタルが実現しました。

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お客は30人程で、会場となる食堂に車座になって座りましたが、満席です。この位の少人数で、こじんまりした部屋で、日本を代表するクラシック・ギタリストである福田氏の演奏を聴けるのはなんとも贅沢です。

午後6時から、福田氏による曲の説明を交えて、演奏が始まりました。演奏曲目は下記の通りでした。

福田氏のギターは綺麗な音色の上に、豊かで、ふくよかな音です。演奏が盛り上がってくると、大きくはない部屋の空気を震わすように、 豊饒な音が部屋中にあふれ出てきました。

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特にタレガ(又はタルレガ)の曲の中で、福田氏のテクニック、音の豊かさが際立って表れているように私は感じました。その中でも、8分30秒の大曲「グラン・ホタ」では、超絶技巧が次から次に繰り出され、豊かで情熱のこもった音があふれ出て、8分余の演奏の間私は引き込まれ、圧倒されました。「グラン・ホタ」は私はデーヴィッド・ラッセル(David Russell)のCDでは何度も聴きましたが、生演奏を聴くのはこれが初めてでした。大袈裟ではなく、こんな凄い演奏は初めて聴きました。

なお、この日使用されたギターは桜井正毅・Maestro-RFで、製作されたばかりのものだそうです。製作者桜井氏も聴きに来る予定だったのですが、予定が変わって来られなくなったとの事でした。

<演奏曲目>
☆フェルナンド・ソル作曲    *3つのメヌエット op.11
                       第3番ト単調
                       第5番ニ長調
                       第6番イ長調
                   *モーツァルト「魔笛」の主題による変奏曲 op.9
☆フランシスコ・タレガ作曲    *ヴェルディ「椿姫」による幻想曲
                   *朝の歌(カプリチョ)
                   *アラビア風奇想曲
                   *アルハンブラの想い出
                   *グラン・ホタ
☆イサーク・アルベニス作曲  *アストゥリアス
☆マヌエル・ファリャ作曲    *ドビュッシー賛歌
☆エイトル・ヴィラ=ロボス   *前奏曲第一番
                   *ワルツ・ショーロ
                   *ショーロス第1番
(アンコール)
☆マヌエル・ポンセ作曲     *エストレリータ
☆レオ・ブローウェル作曲    *特徴的な踊り

演奏のあと、福田氏のCD「Danza Odelisca オデリスクの踊り~タレガ作品集~」を買い、福田氏にサインしてもらいました。家に帰って、CDを聴きましたが、CDはCDで良いのですが、当然ながら生の迫力は伝わってきません。福田氏の演奏は生の方がCDよりも何倍も良かったです。

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8時過ぎにリサイタルが終わると、同じ部屋で夕食兼宴会が始まりました。 岩魚、ヤマメなどの山魚と、この辺で採れた山菜を使った料理です。山魚は、渓流釣りが得意のしなの家オーナーがご自分で釣ってきたものです。最後には手打ち蕎麦が出ました。正直言って、私は福田さんのギターが聴きたくて行ったので、料理はあてにしていなかったのですが、どれも予想外に美味しくて満足でした。
ギターが好きな今回のお客さんはお酒も好きな人が多いようで、だんだん場は盛り上がってきました。福田さんは大変気さくな方で、皆と一緒になってお酒を飲んで、お話をされました。

我々3人も福田さん(右側)、しなの家オーナー(左側)と共に記念撮影です(下)。

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しなの家特製の「いわな骨酒」を3人で回し飲みです。熱燗に岩魚の香りと味が染み出て、なかなかの味でした。


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スズムシさんはさらしなさん製作の10弦ギターを持っていますが、宴会の中で、福田さんはそれを試し弾きしてくれました(下の写真)。


夜が更けるに従って、お客は三々五々、部屋に帰って行きました。お開きになったのは夜中の1時20分でした。その時最後まで飲んでいたのは、福田さん、オーナー、スズムシさん、私の4人でした。4人でいろいろ話し、福田さんからはクラシックギター界にまつわる色々な話が聞けて、興味深かったです。


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さらしなさんは弦の付け方について新構造のギター(「完成したギター」をご参照)を製作され(多分世界で初めてのもの)、今回持参されました。福田さんが翌日、日曜日の朝食後それを試奏してくれました。

さらしなさんは屋久杉を使ったギターを作るなど、ギター製作の新しい可能性、基軸にチャレンジされています。

福田さんのお知り合いで、クラシックギターなどの取扱商社を経営されるAさんもその場に入ってきて、一緒に話をしました。Aさんのお話の中で、特に私の印象に残ったのは、「福田さんくらいの人はどのギターを弾いても、福田さん自身の音を出す。アンドレス・セゴビアはどのギターを弾いても、セゴビアの音を出した」と話されたことでした。まさにその通りだと私は思いました。さらしなさん新作のギターは私を含めて何人かが弾いてみましたが、それぞれが違う音を出していました。しかし、福田さんがダントツに良い音、豊かな音を出しました。

ギターは素材であって、その素材から、音色、音量を含めどれだけのものを引き出せるかは弾く人の技術、力量によるものなのだと思います。 

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