2015年12月5日土曜日

クラシックギターの音色と爪との関係

昨日のブログ記事で、クラシックギターを弾く右手の薬指につけ爪を付けたことを書きました。つけ爪を付ける前の私の一番の不安はつけ爪によってギターの音色が変わってしまうのではないか、という事でした。しかし、これは杞憂でした。

つけ爪を付けて弾いても、付ける前(つまり、生爪にアロンアルファ「釣名人」を塗って補強していた)と比べて、基本的に自分の音色は変わりませんでした。むしろ、つけ爪を付けた方が音色が一定になり、安定しました。
これはクラシックギターの音色を出すのに爪の質(硬い、柔らかい、強い、弱い)は基本的に影響しないという事を意味します。

<アンドレス・セゴビア>

かつて、20世紀を代表する不世出の天才ギタリスト、アンドレス・セゴビア(Andres Segovia)は「ギターを弾く指の爪は柔らかくて、丈夫なのが良い」、そして、「爪の悪い人はギターを弾くな」とまで言っていました。しかし、弱い爪を補強するためにはアロンアルファ「釣名人」というギタリストにぴったりの補強接着剤があり、更には、便利なつけ爪セットも売られている現代では、セゴビアのこの言葉は今や当てはまりません。

それでは、クラシックギターの音色を決めるものはギター(楽器)そのものなのか? それぞれのギターにはその楽器が出せる音の限界というものはあるでしょうし、良いギターは良い音を出せる可能性を持っていることは確かです。しかし、同じギターを使っても、弾く人によってちょっとずつ音色が違うことは自明の理です。現代のヨーロッパの巨匠、ディビッド・ラッセル(David Russell)はギターを弾く指全部につけ爪を付けており、以前facebook上で、指の写真をアップして自分のつけ爪のことを説明していたことがあります。ディビッド・ラッセルと同じつけ爪を付けて、彼のギターを借りて弾いたとしても、ディビッド・ラッセルと同じ音色を出せるギタリストはおそらく一人もいないでしょう。

<David Russell の演奏する A. Barrios作曲「森に夢見る」>

ギターの音色を決めるものが爪でもなく、ギター(楽器)でもないとなると、あと考えられるものはタッチしかありません。弦をはじく右手のタッチと、左手の弦の押さえ方、これがギターの音色に基本的に重要な影響を与えると言うのが、現在の私の思い至った考えです。この私の考え(仮説)が正しければ、右手のタッチと左手の弦の押さえ方を工夫し、更に研究し、練習すれば、まだまだ自分の音は改善し、良くなるという事になります。自分としてはこの仮説を信じて、練習に励もうと思っています。

              <私の愛用のギター ~ 中出阪蔵1976年製作>

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