2012年3月23日金曜日

『宇宙の地図』 観山正見・小久保英一郎共著


しばらく前の日本経済新聞に、 宇宙の地図観山正見 ・小久保英一郎共著(朝日新聞出版刊)の書評が載っていて面白そうだったので、茅野市図書館から借りてきて、読みました。


この本は、NASA、国立天文台、JAXAなどの最新の天文学の成果を結集し、コンピューター・シミュレーションも活用し、地球から宇宙の果てまでを見渡せるように製作された「宇宙の地図」です。 
文章には全てルビが振られ、子供から大人までが読みやすいように書かれています。

「宇宙の地図」表紙 by Poran111
「宇宙の地図」表紙, a photo by Poran111 on Flickr.

「宇宙の地図」は東京都三鷹市の国立天文台からスタートし、だんだん地球から遠ざかって行きますが、10mの乗数での距離の画像が表示されます。下の写真は3枚目、10mの2乗=100mの距離からの画像です。

「宇宙の地図」10#2m by Poran111

22枚目の下の写真は10mの21乗、つまり地球から10万光年の距離です。銀河系全体が見えています。私達は銀河系を飛び出すことはできないそうです。この画像は想像図ですが、様々な科学的根拠を基に描かれています。 

「宇宙の地図」10#21m by Poran111

26枚目の下の写真は10mの25乗、つまり地球から10億光年の距離です。
この画像は日本も参加したSloan Digital Sky Survey Project で明らかになった宇宙の広い部分の構造との事です。一つの点は銀河で、点が全くないところは観測がまだ実施されていないところです。この全体構造を宇宙の大規模構造と言い、宇宙の一番大きな階層です。宇宙は、大規模構造、銀河団、銀河という三層構造になっているとの事です。

「宇宙の地図」10#25m by Poran111

最後の28枚目の写真(下)は10mの27乗、つまり地球から1,000億光年の距離です。


「宇宙の果ては137億光年と言われています。これは宇宙が137億光年前に誕生したことに由来します。現在見えている100億光年先の宇宙は、その100億光年前の姿を見ていることになります。137億光年前には宇宙は生まれていませんので、見ることができません。つまり、私たちから見える最大限ということで「宇宙の果て」です。
宇宙の果ては宇宙の大きさではありません。宇宙はもっと大きいと考えられています。」
         ・・・・・ 『宇宙の地図』 P.106より

「宇宙の地図」10#27m by Poran111

この本の画像を見ていると、宇宙のとてつもない大きさ、時間の途方もない長さを感じることができます。そして、科学が進んで色々なことが分かってきたと言っても、宇宙の観測さえされていない部分はまだたくさんあり、分かっていることはほんのわずか、ほんの一部分にしか過ぎません。

宇宙の途方もない大きさや、気の遠くなるような時間の長さを考えれば、この小さな地球上での人間の争いや、日々の生活で思い煩うことなど大したことはないという気になってきます。

10mの27乗(=1,000億光年)の最後の画像まで見て、理系に弱い文系人間の私は次のような疑問を持ちます。
・・・・・・
*宇宙の果ては137億光年と言うが、それは私達が見ることができるのが137億光年までと言うことで、実際には宇宙はもっと大きいとの事。そうすると宇宙の本当の果てはあるのかないのか? 果てがあるとすれば、何なのか? どのくらいの距離か? そして、距離とは何なのか?
*宇宙は137億光年前に誕生したとの事だが、137億光年より前は何なのか? どうなっていたのか? 時間はどこまで遡るのか? そして、時間とは何なのか?

この本に描かれている10mの27乗より先、その更に向こうについての疑問は、哲学上、あるいは形而上学、あるいは宗教上の問いになってくるのでしょう。

2 件のコメント:

  1. poranさん、こんにちは!
    壮大なロマンを感じる本ですね。
    私はいまだに宇宙の大きさや詳細が何故わかるのか
    不思議です。
    日頃の生活に追われているものにとっては
    全くの別世界を感じます。
    たまには星空を見上げそのような何故を
    感じたいと思います。

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    1. dorinさん、
      宇宙のこれらの画像が作られる、理論的な過程は私にも分かりません。
      しかし、日頃ギターばかり弾いているような私でも、たまにはこういう宇宙の科学的な本を読むと、普段忘れている根本的なこと、大事なことを思い出させてくれるような気がしますね。

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