2009年8月10日月曜日

クラシックギターのチューナー


先日、東京の家の荷物を整理していたら私が学生時代に使っていたギター用の音叉チューナーと笛チューナー(調弦器)が出てきました(下の写真)。

<チューナーの昔と今>
40年も前のことですが、当時はこのような音叉や笛を使ってギターの調弦をしていました。正確な調弦をするのに苦労しましたし、けっこう時間もかかりました。私は大学1、2年の間ギター部に入っていましたが、特にギター合奏の時などは全員の調弦をするのに手間暇がかかり、厄介でした。

image from www.flickr.com            音叉と笛のチューナー/約40年前のもの

私がその後約25年間ギターから離れていた後、4、5年前にギターの練習を再開すると、電子チューナーというものが売られていました。早速それを購入しましたが、便利なものができているものだと感心しました。
image from www.flickr.com                    チューナー KORG AW-1

2年程前からはクリップ式の電子チューナーKORG AW-1を購入し、愛用していました。これは小型、軽量(クリップ込みでも約30g)で、ギターヘッドに取り付けたまま調弦できます(上の写真)。又、振動を拾って調弦する機能も持っているため、重奏や合奏で他の楽器の音が混じる場合でも、問題ありません。
また、これを改良した最新型のギター専用タイプKORG AW-2Gが発売されていることを知り、先月早速購入しました。
 image from www.flickr.com                ヘッド裏側に付けたチューナーAW-2G

新型はギター専用のクリップが付いていて、ディスプレイ部の可動範囲が増し、表示も大きくなり、見やすくなりました(上の写真)。また、ヘッドの裏側にも取り付けることができるため、客席からはチューナー本体は見えなくなります(下の写真)。


前のタイプAW-1は定価が6,300円しましたが、新型のAW-2Gは3,675円と安くなっており、更に私はそれをAmazonのネット通販で1,975円で買いました。機能が改善されて、値段が大幅に安くなっているのですから、助かります。
 image from www.flickr.com              チューナーAW-2G/本体は見えない

<チューナー使用の是非>
こんな便利なものが今はできているのですから、これを使わない手はないと私は思います。40年前の不便な調弦方法をいまだにやり続ける理由は全くないと考えます。
しかし、クラシックギター界はプロもアマチュアも保守的な人が多いようで、私のような考え方は多くはないのかもしれません。
少なくとも、コンクールやコンサートなどの演奏ではお客の前で電子チューナーを使うのは不謹慎であるとか、あるいは使うことは良くないという考え方がいまだに主流のように思われます。
これに関連し、1年程前の月刊誌「現代ギター 2008年7月号」に『チューナーの正しい使い方』 というテーマで小川和隆氏(プロギタリスト)と東昭年氏(ギター・マンドリン指導者)の対談記事が掲載されていました。なかなか参考になり、興味深い内容でした。しかし、この対談の中で「ステージでチューナーを使用する意味」の項目(同誌P.14)での二人の話には、ちょっと私は賛同できません。下にその部分を引用します。ここでの二人の意見は公の場でチューナーを使用することに反対する、一つの代表的な意見なのかもしれません。


********月刊誌「現代ギター」2008年7月号 P.14*******


◆ステージでチューナーを使用する意味―― 最近は、小型で便いやすいチューナーがいろいろ発売されていて、ステージで使用する人も増えていますね。
小川:
最近はコンクールでも使っている人がいますよ。僕は、チューナーを使うことに関しては反対ではありませんが、ステージで聴衆の前で使うことには反対です。
東:あるギタリストのリハーサルの取材に行った時に、ヘッドの先にチューナーが付いていたので、「みっともないから外してください」と頼んだことがありました。
小川:「みっともない」と思うことが大事だと思います。本来、音は耳で聴くものであって、目で見るものではないので、人前では使うべきではない。ステージの袖で使うことはかまいませんが、ステージでは耳で合わせて欲しい。
東:
ヘッドに付けっぱなしにするのではなく、確認する程度ならいいと思います。不安を取り除くのは大事なことですから……。一番問題なのは、チューナーを付けっばなしにして、調弦を機械に頼ってしまい、いざ演奏してみると音が狂っているというときですね。意外と多いですよ。


―― 今の発言は、2つの大きなテーマがあると思います。
 ①ステージマナーに関すること
 ②調弦における音の判断力、音楽性について
東:ギターを弾くときは、カッコつけることも必要ですよ。
小川:マナーというのは、その人の意識で変わるところがありますから、チューナーを付けているほうがカッコいいと思う人がいるかもしれません。僕の言いたいのは、音は耳で聴くという基本的な理念です。



**********************************


ここで語られている反対する理由は「みっともない」、「気に入らない」という趣旨のもので、合理的あるいは科学的理由では全くありません。こういう好み、趣味はどういうものを持とうとその人の自由ですが、それは人に押し付けるべきものではなく、また、押し付けられるべきものでもないと私は考えます。
絶対音感を持っている人や人一倍鋭い耳を持っている人でない限り、普通の人であれば最新の電子チューナーを使った方が、それで6弦全部を調弦したとしても、早く正確に調弦できることは間違いありません。
アマチュアのギターコンクールを聴きに行くと、ステージに上がってから調弦にずいぶん時間がかかっている人が時々います。その上、調弦が合っていなかった、などと後で批評されることがあります。それであれば、最初からチューナを使ってさっさと調弦して演奏に入ってもらった方が聴いている方もイライラしないし、全体の進行のためにもプラスだと私は思います。
調弦はあくまでも演奏の準備にすぎないのであって、調弦のやり方がどうであろうと、それは演奏の音楽性や芸術性とは直接関係のないことだと私は考えます。

0 件のコメント:

コメントを投稿