2009年6月5日金曜日

演奏の時のあがりの克服について

5月12日(火)7:30~8:00pmに放映されたNHK「クローズアップ現代」で『勝負強さは“脳”が決めて』というテーマが取り上げられました。私はこの番組を見ましたが、非常に興味深い内容でした。

番組によれば、本番の大舞台で実力を発揮できる選手と出来ない選手の違いはどこにあるのかを最新の脳科学から解明して、どうすれば本番に強くなれるのかの研究が進み、実践で効果を出しているでいる、とのことです。

下に本番組のNHKのホームページの画面を添付しました。しかし、この画面には肝心の結論が記載されていません。この番組を見て、私が理解したところをまとめると、大まか次のようになります。

・・・ 「これまでの、オリンピック選手など日本の競泳陣は水泳レースの最後の50メートル程で失速し、良い成績を収められないことが多かった。
 そこで、脳科学者はレースの際のラストスパートの状況を作って実験し、脳の血流の量などを調べた。すると、ゴールが近いと意識した時から血流の量が落ちるなど、脳の働きが落ちていることが分かった。
 そこで、脳科学者によるこの分析・研究について日本の競泳選手達に講義を受けさせ、また、選手はレースの時には、泳ぎ終わって、電光掲示板に何分何秒という自分の結果を見るまではゴールと思わないようにさせた。そうして実際にレースに参加させると、最後の50メートルでも選手は前のように失速することがなくなった。
 この研究とレースでの実践は、前回の北京オリンピックでの日本競泳陣の好成績につながった。」 ・・・

image from www.flickr.com


私はこの番組を見て、この理論は楽器の演奏の時にも応用、活用ができるだろうと考えました。

つまり、人前でクラシックギターを演奏する際には、これが本番だとか、ここで決めなければいけないとか、今までの練習の成果を出すべき場所だ、などと考えないで、これは本番ではなく、本番はまだ先だ、これはリハーサル、あるいは練習で、自分はまだまだ上達するのだ、と考えるようにする。こう考え、意識することによって、緊張することが和らぎ、上がる度合いが減るのではないか、と言う、云わば仮説を私は立てました。

そして、自分自身が人体実験のつもりで、ギター・ソロを演奏して試してみることにしました。実際に演奏したのは、国分寺のライブハウス「クラスタ」で5月17日(日)の「フリーコンサート」と6月1日(月)の「木村デー」の2回です。それぞれ約15分の持ち時間で演奏しました。

「これは本番ではなく、本番はまだ先だ、これはリハーサル、あるいは練習だ」と自分自身に言い聞かせ、思いこませて、演奏しました。2回の“実験”の結果は、いつもに比べると、演奏中の緊張や上がりは少しは和らいだかなあ、と言う感じはしました。しかし、家で練習している時に比べると、左手も右手も指の動きはやはり鈍く、自分の場合はこれだけで上がりを克服できたとまではゆきません。今までは、家で練習している時の3割位しか人前で弾けなかったのが、4割位は弾けたかなあ、という感じです。しかし、4割/3割=1.33ですから、33%向上したことになります。一定の改善効果はあったということなのでしょう。

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NHK「クローズアップ現代」

5月12日(火)放送
勝負強さは“脳”が決め手
オリンピックなどの大舞台で、実力を発揮できる選手と出来ない選手の違いはどこにあるのか?それを、最新の脳科学から解明し、どうすれば本番に強くなれるのかを探る研究が、国内外で進んでいる。脳神経外科医の林成之医師は、選手が競技中に頭に思い浮かべる"一瞬の油断"や"不安な気持ち"などが、運動機能の低下に結びつくことを検証。北京五輪の前には、北島康介選手など日本の競泳陣に集中力を切らさないための指導を行い、メダル獲得に貢献した。一方、海外をみると、バンクーバー五輪でのメダル量産を狙うカナダは、国家戦略として、選手への脳トレーニングを開始。北米では、脳専門のトレーニングジムもオープンし、商談の現場で勝負するビジネスマンにも脳の訓練を取り入れる動きが起きている。本番に強くなるヒントはどこにあるのか、日本と海外の最新の動きを追う。
(NO.2731)

スタジオゲスト 茂木 健一郎さん
    (脳科学者)
 

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