2012年12月6日木曜日

演奏は「毛並み・血統書付き」か、「可愛さ」か

世界的ギタリストである福田進一氏のブログ「福田進一☆ギタリスト日記」に12月4日付で大変興味深く、参考になる記事が掲載されていましたので、下にそのまま転載します(ご本人の事前了解なしに)。

この記事によれば、福田さんは名古屋ギター・コンクールの審査を終えた後の講評で、クラシックギター演奏者は「毛並みも良く血統書付きだけど可愛くない犬」と「ちょと不細工やけど可愛い犬」の2種類に分けられると言っています。そして、福田さんは、(ギター・コンクールにチャレンジするような人は)ランクアップして、「毛並みも良くて、可愛い犬」を目指して欲しいと言っています。

今のギターを弾く若い人達の中には「毛並みもよく血統書付きで、しかも可愛い犬」タイプの人が確かにいます。こういう人達はプロになれる可能性を持っていると私は思います。

一方、私のように、若い時に殆ど自己流でギターを弾き、そして約25年間のブランクの後、還暦近くなってギターの練習を再開した人間にとっては「毛並みも良く血統書付き」は今さら望むべくもありません。「不細工やけど可愛い犬」の方向を目指して、なんとか練習するしかありません。
そういう点では、福田さんのこの言葉は私のようなギターを趣味とするオヤジ世代にも方向付けを与えてくれたいうことで、大いに参考になり、納得できます。
image from www.flickr.com
              <福田進一氏/「しなの家」にて 2011年5月28日撮影>


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2012/12/04



第20回名古屋コンクール審査を終えての講評

昨日、名古屋コンクールにゲスト審査員として招かれ、最後に以下のような講評を述べさせて頂きました。(ここに備忘録として話を要約しておきます。)

今回の審査は、1位から4位あたりまで投票に相当なバラツキがありました。これは何故かと私なりに考えました。要は正確に弾けている人の演奏は面白くなく、面白い演奏の人にはミスが多いという。こうなると審査員の基準というか視点が少し変わっただけで結果が大きく影響されるわけです。
こういう例えは大変失礼かもしれませんが、わかり易く言えば、「毛並みも良く血統書付だけど可愛くない犬」と、「ちょっと不細工やけど可愛い犬」が何種類かいたとして、皆さん、あなたはどっちを飼いますか?ということです。(会場から笑)いや、冗談やないんです。だから音楽は素晴らしいし、コンクールはオリンピックなどのスポーツ競技と違うんです。

じゃあ、結局何を目指したら良いのかと申しますと、これはですね、さらに上のランクに行くしかない。世の中には「毛並みも良くて可愛い」っちゅうのがちゃんと存在するわけなんです。つまり、「ミスもなく、良い技術、良い音を持ち、音楽性もあり、かつ面白い」というような若者が出てくるんです。
私はやはり、ここを目指して欲しいと思うんです。

(中略)

それから、コンクールに出す曲なんですが、もうマンネリ化してしまって鮮度を失っている人が散見されました。作品を初めて知った時の感動。同じ作品で場数を踏んでも、作品へのフレッシュな気持ちはなくさないで欲しいですね。理想を言えば、その作品が昨日生まれたように弾いて欲しいのです。(これは練習して弾き込んだ状態を保ちつつ、なお新鮮な感覚を維持するという難しい課題ですが)
皆さん、より上を目指して頑張って下さい。

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