2012年7月24日火曜日

スペイン旅行振り返り(7):グラナダ(アルハンブラ宮殿)

6月4日(月)朝ゆっくりコルドバを出発し、南東約210km先にあるグラナダに向かいました。

オリーブ畑/グラナダに向かう途中 2012年6月4日 by Poran111

グラナダに向かう途中、延々とオリーブ畑が続きます。

グラナダのレストラン 2012年6月4日 by Poran111

そして、我々はグラナダ郊外のレストランに着き、昼食。
スペイン風ミートボールの料理でしたが、食前酒にビールを注文したら、「アルハンブラ」と言う銘柄のビールが出ました(下の写真)。なかなかおいしいビールでした。

アルハンブラ・ビール 2012年6月4日 by Poran111

昼食後、グラナダのアルハンブラ宮殿向かいました。
アルハンブラ宮殿は、アランフェス王宮と共に、私がスペインで最も見たかった所です。
なぜなら、フランシスコ・タレガのギターの名曲「アルハンブラの想い出」があり、イサーク・アルベニスのピアノ曲、スペイン組曲の中の傑作「グラナダ(セレナータ) 」があるからです。

紀元前からの歴史を持つグラナダは、8世紀にイスラム教徒により侵攻され、その支配下に入り、その後もイスラムのもとで発展を続け、13世紀、ナスル朝グラナダ王国の建国により繁栄の絶頂期を迎えました。この頃にアルハンブラ宮殿の建築は始められました。その後も歴代王によって建築が進められ、14世紀後半に至って、ほぼ現在の形に整えられたそうです。

ヘネラリーフェに向かう 2012年6月4日 by Poran111

我々はアルハンブラ宮殿のチケット売り場の前でバスを下り、そこからヘネラリーフェに入りました。まず、天空をさすような糸杉が並ぶ散歩道を歩きました。

ヘネラリーフェ 2012年6月4日 by Poran111

ヘネラリーフェは14世紀初期にグラナダ王の夏の離宮として建てられました。
刈り込まれた生垣と咲き乱れる花々がきれいです。

ヘネラリーフェの花壇 2012年6月4日 by Poran111

奥には、イスラム=スペイン様式を代表する庭園、「アセキアの中庭」があります(下の写真)。

アセキアの中庭 2012年6月4日 by Poran111

アセキアとは水路のことで、全長50mほどの縦長の庭の中央に細長い水路が設けられ、たくさんの噴水から水が絶え間なく降り注いでいます。

シェラネバダ山脈/アルハンブラ宮殿から見る 2012年6月4日 by Poran111

アルハンブラ宮殿の中にはいたるところに水路や噴水が設けられていますが、これらはグラナダの南東にあるシェラ・ネバダ山脈(上の写真)の雪解け水を利用しているとのこと。水のある景観をこよなく愛していたイスラムの心根が伝わってきます。

ヘネラリーフェから見たアルハンブラ宮殿 2012年6月4日 by Poran111

ヘネラリーフェからは宮殿が概観できます。

サクロモンテ/ヘネラリーフェから見る 2012年6月4日 by Poran111

ヘネラリーフェからは北側にサクラモンテの丘がよく見えます。ここでは古くからロマ族(ジプシー)が丘の斜面の洞窟住居(クエバ)に暮らし、それらのいくつかは今はタブラオになっています。この日の夜、我々はここの洞窟タブラオにフラメンコ・ショーを見に行きます。


ところで、“近代ギター音楽の父”と称されるフランシスコ・タレガ(1852年~1909年)は1896年、44歳の時にアルハンブラ宮殿を訪れ、その受けた感銘からギターの名曲、「アルハンブラの想い出」を作りました。
  <フランシスコ・タレガ作曲「アルハンブラの想い出」、アンドレス・セゴビア演奏>
曲全体に流れるトレモロ奏法は庭園の噴水の音だとも、また宮殿を覆う繊細なアラベスク模様だとも言われます。 

ヘネラリーフェから10分ほど歩いて、次はカルロス5世宮殿に行きました。
レコンキスタ(再征服運動)により1492年にグラナダは陥落し、キリスト教徒の手に落ちますが、この宮殿は、その約50年後、カトリックの王カルロス5世によって建設が決められました。

カルロス5世宮殿外側 2012年6月4日 by Poran111

この宮殿はイスラム時代の王宮に隣接し、ルネッサンス様式の四角い建物(上の写真)の真中には円型の中庭が配されています(下の写真)。中庭の周囲は2階建の回廊です。アルハンブラ宮殿の中で、レコンキスタ後に建てられたここは違った雰囲気になっています。

カルロス5世宮殿 2012年6月4日 by Poran111

次は、アルハンブラ宮殿の西端、アルカサバ(城塞)に行きました。

アルカサバ@アルハンブラ宮殿 2012年6月4日 by Poran111

アルカサバ(城塞)はアルハンブラ宮殿内では一番古い部分です。9世紀には既にこの地にあった城塞が13世紀、ナスル朝の時代に現在の規模・整備に拡張されたもの。

アルカサバからは西にグラナダ中心部、カテドラルなどが見渡せます(上の写真)。
そして、北側にはアルバイシンが一望できます(下の写真)。アルバイシンは11世紀頃にイスラム教徒によって築かれた、グラナダで最も古い地区です。アルハンブラ宮殿ができる前はこの丘の上にグラナダ王の居城があったとのこと。

それから我々は、アルハンブラ宮殿の心臓部である王宮(ナスル朝宮殿)に入りました。王宮は14世紀にユスフ1世とムハンマド5世父子の時代に建設された、イスラム文化の精華、結晶と言われています。

アラヤネスの中庭 2012年6月4日 by Poran111

まず「メスアールの間」を通って、それから「アラヤネスの中庭」に出ました。細長い池と両脇の天人花(アラヤネス)の生垣の緑が整然とした空間を作り、中央の「コマレスの塔」が水面に映し出されています。この「コマレスの塔」の中の「大使の間」では王の謁見など、公式の行事が行われたとのこと。

ライオンの中庭を囲む大理石のアーケード 2012年6月4日 by Poran111


そして、12頭のライオンの噴水がある「ライオンの中庭」に進みました。この中庭の周りは大理石の柱が林立する回廊となっています。柱と柱の間の上部はアーチで、レースのような繊密な模様が施されています(上の写真)。

ライオンの中庭 2012年6月4日 by Poran111

12頭のライオンで支えられた噴水がある「ライオンの中庭」はイスラム芸術の最高傑作と言われます。これらのライオン像は修復のため2006年から撤去されていましたが、今は元の位置に戻されました。しかし、我々が訪れた時はまだ修復作業が続いてるところでした(上の写真)。 

この中庭と庭を囲む幾つかの部屋や施設は王のハーレムだったため、王以外の男性は立ち入り禁止だったそうです。


二姉妹の間 2012年6月4日 by Poran111


ライオンの中庭の南側には「アベンセラヘスの間」、北側には「二姉妹の間」があり、それぞれに「モカラベ」と呼ばれる鍾乳石場の複雑な装飾が埋め尽くされた美しい丸天井ついています。

ところで、イサーク・アルベニス(1860年~1909年)の初期(1886年)のピアノ曲の傑作、「スペイン組曲・第1集」の第1曲(Op.47-1)に「グラナダ(セレナータ)」があります。この曲はギターに編曲され、ギター曲としても名曲になっています。
       <イサーク・アルベニス作曲(セゴビア編)「グラナダ」、アンドレス・セゴビア演奏>
上の動画では、不世出の天才、アンドレス・セゴビア自らがギターに編曲して、演奏しています。作曲者、イサーク・アルベニスは22歳の頃、短い間アルハンブラ宮殿のほとりに暮らしていたことがあり、その思い出から、この郷愁に満ちたセレナードが生まれたと言われます。


パルタル庭園とサンタマリア教会 2012年6月4日 by Poran111

ライオンの宮殿から「パルタル庭園」に出ました。ここはイスラム時代には貴族の宮殿や住宅、モスクなどが建ち並ぶ緑地でした。
「貴婦人の塔」(下の写真)を背景に、池と花々のある明るい庭園です。


貴婦人の塔@アルハンブラ宮殿 2012年6月4日 by Poran111

ここから東へ遊歩道を進めば、ヘネラリーフェに至ります(下の写真)。

ヘネラリーフェを見る 2012年6月4日 by Poran111

アルハンブラ宮殿は私が思っていたものよりも広く、規模の大きいものでした。夏場は非常に暑くなるグラナダでも涼しい丘の上に位置しています。
宮殿とは言うものの城塞の性質も備えており、その中に住宅、官庁、軍隊、、モスク、学校、市場、庭園等様々な施設を備えていて、14世紀頃には2,000人の人々が暮らしていたと言われます。


アルハンブラを見て、夕方、グラナダ市内にあるホテルに着きました。

洞窟のタブラオ 2012年6月4日 by Poran111

ホテル内のレストランで夕食をとり、夜8時半頃、マイクロバスに乗ってホテルを出発し、アルハンブラ宮殿の北側に位置するサクラモンテの洞窟タブラオにフラメンコ・ショーを見に行きました。

タブラオでのフラメンコ 2012年6月4日 by Poran111

フラメンコは15~16世紀にアンダルシア地方に誕生したと言われ、当時この地域に流入したロマ族(英語で言うジプシー)が形成した独自文化の中で、フランメンコは発展しました。
この日のショーは、ギタリスト1人、カンテの歌い手1人、踊り子が女性3人、男性一人でした。
情念のほとばしるような歌、情熱的なフラメンコ・ギター、官能的な踊りは、洞窟タブラオの中で独特の雰囲気を作り、十分楽しむことができました。
(グラナダのフラメンコについて詳しくはcharanのブログをご参照。→「スペイン旅行(10) グラナダ・フラメンコショー」)

夜のアルハンブラ宮殿 2012年6月4日 by Poran111

フラメンコの終わった後、洞窟タブラオの前の道路からはライトアップされたアルハンブラ宮殿が夜空に輝いていました。

グラナダのHotel San Anton(左側の建物) 2012年6月5日 by Poran111

翌日、6月5日(火)は朝食後、我々のバスが出発する前にちょっと時間があったので、泊まったホテル・サン・アントンの周りを少し歩きました。

グラナダの学校 2012年6月5日 by Poran111

ホテルの横を流れる川沿いに歩くと、白い修道院がありました。

グラナダの街 2012年6月5日 by Poran111

修道院の近くの橋を左に渡ると、もうそこは繁華街(Darro通り)でした。この時はまだ朝8時半のため、ほとんどの店は開いていません。

それから、我々はグラナダを発ち、バスでミハスに向かいました。

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